ハンバーグの歴史と長い旅路の話

ハンバーグの歴史というのは実に興味深いもので、日本からみたらすぐ、とは言わないまでも西に比較的な地域で発明されたにも関わらず、地球を半周以上してから日本にやってきたという来歴を持つ。
諸説あるが、最有力なのがタタール人のステーキ(タルタル・ステーキ)が原型だという説だ。

タタール人はモンゴルを中心とした遊牧民族のことだが、ヨーロッパから見た場合は東方の遊牧民はわりと一緒くたにしてタタール人だったらしい。
そういうわけで、この文脈でいうタタール人が、そのまま民族や部族の名前をさすわけではないことに注意したい。モンゴル系だけでなくチュルク系やツングース系まで含めているということだから、今のトルコやロシアに至る一帯の遊牧民がすべてタタール人だった、というわけだ。

で、このタルタル・ステーキはこうした遊牧民の馬肉料理を元にして、ヨーロッパで発展した生肉料理である。
遊牧民というのは大抵が騎馬民族なのだが、これは日本の歴史教科書の挿絵などで見るように、騎馬兵として対抗する部族への戦力に用いる他、荷馬として用いたり、時としては非常食として活用する意味合いがある。
今日乗っている馬が明日のご飯になる、ということもあったわけだ。

遊牧民族にとって移動の足を失うことは死活問題であるわけだが、それも明日の食べ物があってこそ。優先順位からすれば当然の帰結である。
そうして馬をつぶし、とれた馬肉を叩いて筋を切ったら、臭み消し用の香草類などを混ぜ込んだ料理があった、とされている。

この料理がヨーロッパに持ち込まれて、当時のヨーロッパで一般的に食べられていた牛肉を使う料理に発展したものがタルタル・ステーキ。ヨーロッパでの馬は重要な農耕用の家畜であり、貴族文化にも見えるように、文化的に騎乗する行為が重要な意味を持っていたため、馬を食用にすることまでは受け継がなかったらしい。

この料理がドイツのハンブルグで労働者に好まれたのだが、やがて名前がハンブルグ・ステーキと変わり、さらに移民を通じてアメリカに持ち込まれたことで、英語表記でハンバーグステーキとなった、というのが有力なハンバーグ誕生の歴史とされている。鉄板でアツアツに焼き上げて、ナイフで切ると肉汁が溢れ出すハンバーグも、元をたどれば生肉料理だったわけだ。

で、日本にはアメリカからさらに太平洋を越えてやってきた、というわけで、モンゴルから日本まで、ハンバーグは随分と長い旅をしたものである。
まあもしかすると古代に中国大陸から直接伝わった可能性もあるけど、日本には基本的には生肉食分化はないので、おそらく根付かなかっただろう。日を通った料理になってから伝来した、と考えるのが自然だと思う。

そういえばチュルク系やツングース系といえば、やがて混血を繰り返してエベンキ族を形成し、今の朝鮮民族の大きなルーツの一つになったわけだけど、ということはタルタル・ステーキがエベンキを経由してユッケとなった、という可能性もあるなぁ。そっちのルートは調べていないけど、そのうち焼肉でも取り上げるときにでも調べてみようか。

まあもちろん、今日の日本で食べられるハンバーグはちゃんと日の通ったモノである。
そうしたふっくらジューシーなハンバーグを、本日は「山本のハンバーグ 高田馬場店」で大根おろしで和風にさっぱりといただきました、という話。

【本日のお店情報】
店名:山本のハンバーグ 高田馬場店
住所:東京都新宿区高田馬場3-2-2 青柳ビル 2F
営業時間等:
[月~金]
11:00~15:00(L.O. 15:00)
17:00~23:00(L.O. 22:30)
[土日祝]
11:00~23:00(L.O. 22:30)

今週のブログテーマ】今回のテーマ:【「食欲の秋」】

この記事へのコメント